東京湾あさり

郷愁×ロマン×釣理

杜甫『漫成』

江月去人只數尺  江月は人を去ること只數尺
風燈照夜欲三更  風灯は夜を照らして三更ならんと欲す
沙頭宿鷺聯拳靜  沙の頭に宿る鷺は聯拳として靜かに
船尾跳魚撥剌鳴  船の尾に跳る魚は撥剌として鳴る

                           『新唐詩選』(岩波新書

杜甫のこの詩。飯岡や勝浦、大原で暁に出港した際、遠景には鷺が、船の周りには併走してトビウオが跳ねる様子に出会うことがままある。この詩は全く同じ状況ではないが港における月夜の趣きを完璧に捉えて顕しており感銘を受けた。漫(そぞろに)出来た詩という題もシチュエーションが想像できて楽しい。